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15話より、日本神話・琉球神話・アイヌ神話とエミシ神話

2016/08/23  20:49
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神様セカンドライフ15話「王」よりブログ版
おまけです、そしてド長文です。

コメントはこちら。


>旧作では焦ったと仰られた理由が分かりました。
ああ、ああ、これはいい


リニュ版の15話にあたるのが旧18話「?」です。
旧版でもアオの神格を上げる奇策として登場しています。

当時は週8ページでまとめることにこだわっていたり
あまりに長い会話回に焦り強いネタ(アラハバキ)を先にもって
来たため、そこへ至る背景やアラハバキに
こだわる理由などは描かれていません。


>ここに至るまでが思いつきや成り行きではない、探究心という
欲に依るものである旧作ではついでに過ぎなかった部分に
重きを置くことで思兼・ヤエのキャラクターが掘り下げられていく


リニュ版ではコメントの部分をヤエの過去編と絡め
じっくり描くことにしました。
それとやはり欲、神が欲をというのも変に感じるかもしれませんが
伝承や民話を読んでいくと何かを要求したり困っていたり祟ってみたりと
神様にも欲が垣間見えます。

こういう欲こそアニミズムの神、そんな風に思っていますので
これからも描いて行きたいです。



そしてもう一つ大事な核が…
>日本の神話はあまり知識ないけど
中央と東北方面で戦争みたいなのがあったのかな?
話の筋とは違うだろうけど、そーゆう背景の説明もあると助かります。


今回のメインテーマはこれです。
がっつりがっつり行きたいと思います。

っと、その前にざっくりですが説明から行きます。
正直本編で歴史の話をじっくり描くかはまだ決めかねて
いるので内容がかぶるかもですがその時はそのときで。


コメントにある戦争みたいなものとは神話ではなく現実にあった
歴史のお話です。

時代は7~8世紀頃(飛鳥~平安時代)。
当時の東北は大和政権(中央政権)の傘下に入っていませんでした。
15111.jpg
緑が大和(ヤマト)の支配地域、赤が化外です。
化外とは国家(大和)の統治が及ばない地という意味で
正確には「蝦夷(えみし)」と呼ばれていました。

作中で化外と表現する理由はこの「蝦夷(えみし)」
ルビを振らないと北海道と勘違いされるうえに
時代が進むと「蝦夷(えぞ)」に変わりそれこそ北海道を
さす言葉に変化し非常にわかりづらいためです。

そんな化外ですが大和が征服や併呑を行い
大和政権に帰属した歴史があります。


有名なのが大和と戦った岩手県の阿弖流為(アテルイ)
彼もエミシの一人です。


神話にないこの戦いですが、本作はいわゆる「神様」を
すべて実在することを前提に描いています。

それを踏まえ7世紀、戦いの前に
「我らには軍神がついておる!!」
なんて風景があったと思います。

大和軍には大和の軍神、エミシ軍にはエミシの軍神
つまり大和の神vs化外の神です。

15話のこの部分。
1506.jpg
神話の物語を勝者の物語と書きました。
これは「神話の神」を侵略者と言うのと同義です。


15話の不遜な過去ヤエやリニュ版2話のヒトツメ
ミヨシを格下と見ていた背景もこれが根っこです。
0206_201608211509546d0.jpg
(ヒトツメは歴史というより地味な土着神扱いかも?)


>神話の神、ヤエは変わったのでしょうな。
それがなんと呼ばれるべき変容か……続きが楽しみですばい


変容の一端が垣間見えるのが実は3話
このシーンです。
ミヨシとの過去を経て今に至ったヤエが
神話の神にいう言葉が…
0305.jpg
いや、ヒトツメではなく過去の自分に言ったのかも…
そんな感じです。
15話を経て1話からのヒトツメを見ると印象が変わってくる…
かもしれません。

「…馬鹿者が」のコマは無くてもいい無駄ゴマです。
ただ侵略者神話の神を描いた15話以降だと
意味合いが変わるかもと思い入れました。
…なんて意図もありましたが本音は神話の神の
立ち位置を早く言いたい…そんな気持ちが
あふれたってほうが近いかも。

あとは旧版の50話なんかもそうです。
5005.jpg
同じ神話の神でありながら同属を厄介なものと
話しています。


神話の神。
思兼神のヤエと天目一箇神のヒトツメ。
ふたりが今後どんな道を歩んでいくのか楽しみにしていただけたら
嬉しいです。



ここまででわかるように本作は神話の扱いが悪いマンガです。
以前言っていたようなキャラとして扱いが悪いのではなく
本当に扱いが悪いです。
これには歴史から見た神話への私なりの解釈があるためです。


侵略者「日本神話」
この感覚、分かりづらいと思います。


例えるなら
アイヌ神話、琉球神話、日本神話…
これらに共通する部分、それは

島国の神話、つまり地続きではないという事です。

神話は世界中どこを見ても人種や文化の数だけ存在します。


ある文化が成熟し未知を未知と切り捨てられなくなった時
(あるいは未知を畏れたとき)形付け理解に至るため
神や神話が生まれるのだと思います。

ですので世界の神話の物語や神は創世や生死などスケールの大きい
ものに、そして似通ったものになります。


もし!
古代の東北が文化的成熟を迎え神を体系化したなら
そこには確実に

「エミシ神話」

があったはずです、そして三吉霊神やアラハバキが
名を連ねたはずです。


地続き。
これがエミシ神話(仮)が生まれなかった理由で島だからこそ
神話が確立するまでの時間が流れた…その産物が琉球神話やアイヌ神話
だと思います。


これによく似ているのが一神教です。


コンキスタドール=征服者。
会話は一神教とアニミズムで盛り上がっているところの抜粋。


地続きに異なる宗教や文化が隣り合うと…
まあ、そういうことです。


日本神話を侵略者と描く理由はこういった持論が
出発点になっています。


絶対長文になると思っていましたが案の定
長文に。
でもおら満足だー(満足!



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コメント

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名も無きハタハタ 2016/08/24 00:34

No title

不遜だった時期はまさしくヤエの黒歴史だったのですね。
でもそれを知っているのはミヨシだけで、
きっとミヨシは他の誰かに言いふらしてはいない気がします。
まあキツネやアオから「妾っ!妾っ!」とか言われて
赤面しながらプルプルしてるヤエも見てみたいですがw
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卍ャイ 2016/08/24 14:09

やっぱりテスト

ニヤニヤ😏
(特に意味なし)
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sheero 2016/08/26 20:50

No title

勉強になりました!

神話の神と土着の神の差は、古事記かなにかに載っているかどうかくらいしか考えていませんでしたが、もともと別の宗教だったのですね。
キリスト教は他の土着宗教を征服して、悪魔やら天使やらに置き換えていった話はしってましたけど
日本も似たようなことしてたとは驚きです。
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名も無きハタハタ 2016/08/29 15:08

No title

征夷大将軍が鎌倉から江戸まで数百年に渡って武家社会のトップにいたのはそれなりの理由があるんだよなぁ
日本武尊が東征の際に立ち寄って何かしたとかで神社建ってたりする所とかも多いし
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LV3 2016/08/29 19:21

No title

>「妾っ!妾っ!」
面白そう…!ワシになるのが早かった予感(手遅れ

>神話の神と土着の神の差は…
当時のエミシの神様が宗教という概念まで届いたかは
不明ですが、もし中央に呑まれなかったら…
本編には(多分)出てこないお話ですがちょっとした余興ってことで。



>征夷大将軍が鎌倉から江戸まで…

どのみち地続きである以上併合されるのは必然だったと思うので単なるIF話と思っていただければ。
ほんとは地政学と一神教あたりから記事にしたかったんですが、どうしても批判っぽくなるので我慢(我慢

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