75話より、物部文書と神代文字と秘密主義
2017/12/23 19:14
神様セカンドライフ 75話「韓服宮の呪い師」よりブログ版
おまけです。
コメントはこちら。
>ディベートかなあ。この掛け合いは
YES!
今回は秘史神宝の守人と学者の論戦から、パインの
背景をフォーカスするという構成でした。
唯一心残りなのは、平田篤胤の情報が描写不足なので
アツタネのスタンスが分かりにくいところです。
アツタネも負けず劣らず魅力的な背景を持つ人物なので、唐松大神が
ぼやけないようにバッサリ切るしかなかったのが残念です。
ですので
>国学の背景をよくは知らないけど
もっともな疑問ですので軽く掘り下げてみたいと思います。
江戸時代に始まった国学は、仏教伝来以前の日本本来の
神話・宗教・歴史を探っていくところから始まります。
(文献の真贋判定はこの頃、先代旧事本紀はこれ以前は正史
でした)
そして、本居宣長の死後入門した(夢枕に立った宣長と
師弟関係を結んだ)アツタネ辺りから大きく変化していきます。
江戸末期、国学から発生した日本古来の精神を喧伝する
アツタネの論は海外の脅威と合わさり尊皇攘夷。
すなわち天皇を政治の中心とし、外国を追い払う運動へ
取り込まれていきます。
彌高の国学者は後世に多大な影響を与えた
賛否あるナショナリストというのが私の印象です。
>いやはやスピリチュアルまで出てくるとは恐れ入りました。
アツタネのもう一つの顔が仰るとおりスピリチュアル。

「幽冥(ゆうめい)」
本作のキャラクターは自分たちの世界を「幽世(かくりよ)」と呼びます。

アオですら
ですがアツタネだけは幽冥。
これが古神道や幽冥論の提唱者アツタネがもたらした
スピリチュアル的思想です。
古神道や幽冥論以降、あちこちで神道以前の純神道「古神道」を
下敷きにした新興宗教が生まれ現代まで続いています。
※
神道以前といっても荒削りな原始アニミズムという
意味ではなく別物。
平田篤胤が様々な学問や宗教から作り上げたものと
考えられていて、当時より「平田神道」と指摘されていた。
以上の通り、平田篤胤は非常に賛否の別れる人物ですが
江戸末期を代表する稀代の学者なのは間違いないと思います。
>アラハバキ神や鹿島様といった東北の神々の秘密主義的な
姿勢も混乱の一因のような気がします。
今回は唐松に華を持たせていますが
仰る通りどっちもどっちです。
唐松は物部以外を信用していない秘密主義者。
アツタネは言わずもがな。
秘密主義者唐松大神。
こうなった背景は偽書と神代にあります。
「偽書」「神代文字」
このワードは非常に強い力を持ち、正義の拳を振り上げる
きっかけになりうる言葉です。
どんなに神話に詳しい人でも、これに関しては口汚く罵る例を
昔も今も数多く見てきました。
私はそういう方とはさっさと離れるだけですが、唐松神社ゆかりの
かたはそうはいきません。
神代文字と古代日本の文字との関連は学術的に立証
されていません。
ですが、神代は符や暗号などに使われていたのは事実で
古代のロマンと同一に論じたり、それを扱う神社を糾弾するのは
意味が分かりません。
唐松神社の秘史、物部文書は偽書と呼ばれることがありますが
正確ではありません。
そもそも物部文書は全公開されておらず、真贋を検証する
土台にすら立っていません。
唐松神社のスタンスは「秋田物部文書伝承」の冒頭に
記されています。


私はこの序文と今なお謎を含み語らない、唐松神社の
秘密主義的スタンスはこれらから守るための方針だと
受け取っています。
ですので本作の唐松大神は秘密主義者。
全ては一族を守るため。
秘史神宝の守人「唐松大神」とはこれら唐松神社を取り巻く
状況から推察した意思を具現化した姿です。
>古事記や日本書紀だけを持ち上げる理屈がよくわからないですね。
排他的な思考に偏って、マイノリティを否定しまくったら、真実から
遠ざかることになりませんかね。
現代の感覚だとそうですが、大昔だと血筋の意味合いは
とても重要でした。
記紀はそういう視点で大事だったんかなあって。
あとは、どこの国でも国粋主義(おらが国が一番主義)が
芽生える時期があるのでそういうのもあったのかも?
ですが現代でも錦の御旗に掲げるのはさすがに…
ましてや、記紀とほぼ関係ない東北はマイノリティにこそ
真実の欠片が残っていると考えています。
話はそれますが、そういう意味では青森はうらやましい土地です。
あそこは記紀はもちろん、書に登場するのがやたら遅いので
考古学的検証から古代の実態を解明していくほかありません。
(三内丸山遺跡とか)
マイノリティどころかゼロだからこそのアプローチ。
検証と実証に極振りした解明はとてもワクワクします。
>アオはパインの本殿に会いながら結局手ぶらで帰っちゃうの?
アツタネか泉光院がフォローしてくれるかな。
アオはミヨシの記憶を取り戻すため人相書きを集めている。
泉光院は縁結びの解明のため動いている。
アツタネは唐松と討論したかったのでアオをだしにした。
つまり全員、敵のボス(パイン)=唐松大神とは気づいていません。
俯瞰している読み手だけが知っている状態です。
どう転がっていくのかは次回~~
>名前と姿を見ただけで、「陸奥の駄馬、出羽の山猿、蛇の異形」と
言える唐松様スゴイ。
モモは記紀の神やその使いへのスタンス。
唐松様は土着神へのスタンスを表現してみました~
>篤胤さんここに居るのはいいオンナと言いながら唐松様を目の敵にしてた
ようだったから、嫌味で言ってるのか?って思ってたら、自分と口喧嘩できる
くらい気位が高く気が強くそして弁も立つ唐松様の事いいオンナと思ってる
のは本当だったw
神の世界で頭脳派は少ないので、討論や学をぶつけ合う相手がいないのは
つまんないだろうなあと。
(学者ノブヒロは門下生なのでちょっと違う)
千秋チームは与次郎・ノブヒロ・佐竹公とアツタネが満足できる
相手とはほど遠いですし。

幽世は論客不足?
>喧嘩する程なんとやらでは無いけれど少なくとも口論に付き合える
程度の仲なんですね〜
>剣呑な言葉の応酬、とはいえアツタネは勿論、唐松も
どこか楽しんでるというかやり甲斐を感じてるように見えますね。
「次はいつ来るのかしら」とか思ってたりして。
>唐松さまもそれを知った上で論がけを楽しんでるみたいだし。
ですので毛虫のように嫌われているのか仰るとおり楽しんでいるのか
わかりませんが、唐松様は張り合いのあるいい女。
>爺さんが若い娘(外見は)と討論を楽しむために頑固になってるだけに
見えますけど。
ヒヒジジイ疑惑が急上昇!?
以上、いつものおまけでした~
おまけです。
コメントはこちら。
>ディベートかなあ。この掛け合いは
YES!
今回は秘史神宝の守人と学者の論戦から、パインの
背景をフォーカスするという構成でした。
唯一心残りなのは、平田篤胤の情報が描写不足なので
アツタネのスタンスが分かりにくいところです。
アツタネも負けず劣らず魅力的な背景を持つ人物なので、唐松大神が
ぼやけないようにバッサリ切るしかなかったのが残念です。
ですので
>国学の背景をよくは知らないけど
もっともな疑問ですので軽く掘り下げてみたいと思います。
江戸時代に始まった国学は、仏教伝来以前の日本本来の
神話・宗教・歴史を探っていくところから始まります。
(文献の真贋判定はこの頃、先代旧事本紀はこれ以前は正史
でした)
そして、本居宣長の死後入門した(夢枕に立った宣長と
師弟関係を結んだ)アツタネ辺りから大きく変化していきます。
江戸末期、国学から発生した日本古来の精神を喧伝する
アツタネの論は海外の脅威と合わさり尊皇攘夷。
すなわち天皇を政治の中心とし、外国を追い払う運動へ
取り込まれていきます。
彌高の国学者は後世に多大な影響を与えた
賛否あるナショナリストというのが私の印象です。
>いやはやスピリチュアルまで出てくるとは恐れ入りました。
アツタネのもう一つの顔が仰るとおりスピリチュアル。

「幽冥(ゆうめい)」
本作のキャラクターは自分たちの世界を「幽世(かくりよ)」と呼びます。

アオですら
ですがアツタネだけは幽冥。
これが古神道や幽冥論の提唱者アツタネがもたらした
スピリチュアル的思想です。
古神道や幽冥論以降、あちこちで神道以前の純神道「古神道」を
下敷きにした新興宗教が生まれ現代まで続いています。
※
神道以前といっても荒削りな原始アニミズムという
意味ではなく別物。
平田篤胤が様々な学問や宗教から作り上げたものと
考えられていて、当時より「平田神道」と指摘されていた。
以上の通り、平田篤胤は非常に賛否の別れる人物ですが
江戸末期を代表する稀代の学者なのは間違いないと思います。
>アラハバキ神や鹿島様といった東北の神々の秘密主義的な
姿勢も混乱の一因のような気がします。
今回は唐松に華を持たせていますが
仰る通りどっちもどっちです。
唐松は物部以外を信用していない秘密主義者。
アツタネは言わずもがな。
秘密主義者唐松大神。
こうなった背景は偽書と神代にあります。
「偽書」「神代文字」
このワードは非常に強い力を持ち、正義の拳を振り上げる
きっかけになりうる言葉です。
どんなに神話に詳しい人でも、これに関しては口汚く罵る例を
昔も今も数多く見てきました。
私はそういう方とはさっさと離れるだけですが、唐松神社ゆかりの
かたはそうはいきません。
神代文字と古代日本の文字との関連は学術的に立証
されていません。
ですが、神代は符や暗号などに使われていたのは事実で
古代のロマンと同一に論じたり、それを扱う神社を糾弾するのは
意味が分かりません。
唐松神社の秘史、物部文書は偽書と呼ばれることがありますが
正確ではありません。
そもそも物部文書は全公開されておらず、真贋を検証する
土台にすら立っていません。
唐松神社のスタンスは「秋田物部文書伝承」の冒頭に
記されています。
物部家の資料については考え方、また価値判断、更には本書の
解説文については人それぞれに見解は異なるかとは
存じますが、唐松神社の大意は汲み取っていただけるものと
思っております。
進藤孝一著 秋田「物部文書」伝承より
唐松神社名誉宮司、序文より抜粋
私はこの序文と今なお謎を含み語らない、唐松神社の
秘密主義的スタンスはこれらから守るための方針だと
受け取っています。
ですので本作の唐松大神は秘密主義者。
全ては一族を守るため。
秘史神宝の守人「唐松大神」とはこれら唐松神社を取り巻く
状況から推察した意思を具現化した姿です。
>古事記や日本書紀だけを持ち上げる理屈がよくわからないですね。
排他的な思考に偏って、マイノリティを否定しまくったら、真実から
遠ざかることになりませんかね。
現代の感覚だとそうですが、大昔だと血筋の意味合いは
とても重要でした。
記紀はそういう視点で大事だったんかなあって。
あとは、どこの国でも国粋主義(おらが国が一番主義)が
芽生える時期があるのでそういうのもあったのかも?
ですが現代でも錦の御旗に掲げるのはさすがに…
ましてや、記紀とほぼ関係ない東北はマイノリティにこそ
真実の欠片が残っていると考えています。
話はそれますが、そういう意味では青森はうらやましい土地です。
あそこは記紀はもちろん、書に登場するのがやたら遅いので
考古学的検証から古代の実態を解明していくほかありません。
(三内丸山遺跡とか)
マイノリティどころかゼロだからこそのアプローチ。
検証と実証に極振りした解明はとてもワクワクします。
>アオはパインの本殿に会いながら結局手ぶらで帰っちゃうの?
アツタネか泉光院がフォローしてくれるかな。
アオはミヨシの記憶を取り戻すため人相書きを集めている。
泉光院は縁結びの解明のため動いている。
アツタネは唐松と討論したかったのでアオをだしにした。
つまり全員、敵のボス(パイン)=唐松大神とは気づいていません。
俯瞰している読み手だけが知っている状態です。
どう転がっていくのかは次回~~
>名前と姿を見ただけで、「陸奥の駄馬、出羽の山猿、蛇の異形」と
言える唐松様スゴイ。
モモは記紀の神やその使いへのスタンス。
唐松様は土着神へのスタンスを表現してみました~
>篤胤さんここに居るのはいいオンナと言いながら唐松様を目の敵にしてた
ようだったから、嫌味で言ってるのか?って思ってたら、自分と口喧嘩できる
くらい気位が高く気が強くそして弁も立つ唐松様の事いいオンナと思ってる
のは本当だったw
神の世界で頭脳派は少ないので、討論や学をぶつけ合う相手がいないのは
つまんないだろうなあと。
(学者ノブヒロは門下生なのでちょっと違う)
千秋チームは与次郎・ノブヒロ・佐竹公とアツタネが満足できる
相手とはほど遠いですし。

幽世は論客不足?
>喧嘩する程なんとやらでは無いけれど少なくとも口論に付き合える
程度の仲なんですね〜
>剣呑な言葉の応酬、とはいえアツタネは勿論、唐松も
どこか楽しんでるというかやり甲斐を感じてるように見えますね。
「次はいつ来るのかしら」とか思ってたりして。
>唐松さまもそれを知った上で論がけを楽しんでるみたいだし。
ですので毛虫のように嫌われているのか仰るとおり楽しんでいるのか
わかりませんが、唐松様は張り合いのあるいい女。
>爺さんが若い娘(外見は)と討論を楽しむために頑固になってるだけに
見えますけど。
ヒヒジジイ疑惑が急上昇!?
以上、いつものおまけでした~



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No title
僕は、篤胤は与次郎の話を聞いてなんとなく勘付いているのではと思っていました。
国学の中でも確かにその時代背景もあってか篤胤の存在は異色だと思います。稀有ともいえるかもしれません。でも魅力的な存在だったのでしょうね。これからが楽しみです。
ちゃんと「ひらたあつたね」で変換できたし、有名人だったんですね
若冲がバズったように、神様セカンドライフきっかけでバズったりして?
と学者さんに対して頭ワルい表現をしてみましたが、なくはない話しかな
現代では右とか左とかに組み込まれそうですが…