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84話より、鉄の伝承とタタラ製鉄とシルエット

2018/05/26  19:33
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神様セカンドライフ 84話「幸せだった」よりブログ版おまけです。


コメントはコチラで。



好きな技術系ボーイッシュはトロン様です。



>ヤエとタタラは個体として旧知の仲だったわけじゃなく、お互いオモイカネとマヒトツを知ってましたよって話だったのね

YES!
お互い親の個性しか知りませんがそういう意味での顔見知り。
ヤエの母オモイカネ、タタラの祖マヒトツ、この辺もキーになりますのでお楽しみに~~


>もののけ姫のたたらばその物でイメージ作りやすくて良かった!
>ちょうどGWに奥出雲のたたら資料館を見学してきたので、個人的にタイムリーな回でした。たたら場の描写はさすがだなぁと思います。


ありがとうございます!
既に失われた技術なので描くのに苦労しましたが、頑張った甲斐がありました!

おそらく現存する遺構で、一番有名なのがコメントにもある出雲のタタラ場『菅谷たたら高殿』だと思います。

8403.jpg
菅谷高殿を参考にして書きました。

もののけ姫のタタラ場もここがモチーフになっていて、(おそらく)一番精密な描写がなされている映像作品です。





>文化の波ですか、維新に伴う西洋式製鉄の発展。青の機械に変わっていたときの流れもそうでした。
>進歩が理由でのタタラ場閉鎖すら嬉しい事だって言う辺り、やっぱり技術と発展の神様だし、そこで寂しく思いつつも嬉しいって辺りが、そこに生きる人々にに寄り添う神様って感じがする


日本や海外含め、神話に影響を与えているのが技術。
なかでも鉄器は別格です。

天目一箇神をはじめ金屋児神(鉄系の神様)から、蛇や山神系など鉄と結びつくとされる神や伝承はとにかく膨大です。

神様以外も同様で、本作で触れた秋田物部氏。
これも西の進んだ鉄器技術と馬産で出羽での地位を築いたという説があります。


2life7311.jpg
鉱山技術は土木・治水と関わりが深いのでパイン(物部系の神)はその辺の知識が豊富。

2life7403.jpg
物部氏から土木工学の父が登場するのはロマンすぎる…!


ですので神話を語るなら鉄は外せない…いえ、私にも描かせて!と考えていましたがキリが無かったので大幅に省略。
というわけでちょっとだけ語らせてください(多分ちょっとではすまない)。

スキルツリー
8408.jpg
タタラは大量生産一歩手前あたりのタタラ場で活躍。

簡単に説明すると。

・野だたら
屋外での原始的なたたら製鉄、記紀の時代からあったとされる。


調べた限り、この動画がとても近いと思います。


・高殿たたら
作中やもののけ姫の近代化が進んだタタラ場。


・天秤ふいご
8407.jpg
ふいご(送風機)

16.jpg
国会図書館、日本山海名物図会より。


竹筒で吹き付けるところから始まり、皮袋でフゴー…形容が難しい…


フゴー!フゴー!


その後、木箱でカフー…形容が難しい…


カフー!カフー!


なお、天秤ふいごがタタラ製鉄における送風機の完成形で、これ以降は西洋製鉄が主役になります。


・高温炉
天秤ふいごのおかげで炉温がアップ。
品質・生産効率が向上し、世界でもトップクラスの品質に至った。

なお、日本刀における最上級の玉鋼(たまはがね)はタタラ製鉄でのみ精製されるため、タタラ製鉄消滅とともに失われてしまいました。


・炭焼き、山林保全
タタラ製鉄の火力は炭によってまかなわれましたが、山林の消費ペースが凄まじかったため藩から制限がかけられていた。


・山川砂鉄、鉄穴流し、水質対策
砂鉄は主に山と川、場所により海から取っていて、それを川に流し比重で砂鉄を選別する鉄穴(かんな)流しをしていました。

58404.jpg
鉄穴(かんな)流し。

この技法、上流から下流へ砂を流すため水質汚染が凄まじく、農家との間でトラブルが相次ぎ藩より制限がかけられました。


48404.jpg
タタラのポジションは「村下(むらげ)」、統括者、頭領的なポジション。

スラグ=不純物。ノロ、鉄滓。




スラグの動き、鉄穴流し、パインの土砂崩れと蛇喰の話など、蛇は様々な暗喩で用いられた。

もっともっとありますが、ほっとくといつまでも書いてしまいそうなのでこのくらいで~(スッキリ


>お尻ペンペンはあれですかミヨシがヒトツメちゃんペンペンしたのがウケたからこっちでもって感じですかw

残念!

ほんとは相撲をとるシーンからの尻出しでしたが、これ描いているとき相撲がらみで良くないニュースが立て続けに起きたので変えたんです(直接的に世間を風刺するシーンは描かない

8404.jpg
右の太目の職人が対戦相手。
彼を播磨投げで投げ飛ばし、小さいながらも神格お化けなので強いというところを見せたかった。
あとは、相撲は神事なのと「日本山海名物図会」を参考にしていたので入れたかったみたいな。

08.jpg
国会図書館、日本山海名物図会より。


>LV3さんはスパンキングフェチ・・・?



あれは叩くものではなく、おひざに乗せて楽しむものです。


>タタラの肌色が段々と赤っぽくなっていくのが気になっています。
最初は(当たり前ですが)マヒトツと一緒だったのに徐々に赤くなっていってますね。
タタラ場にいて焼けたから?
>それがなぜ餓鬼のような、場末の赤鬼になってパインに付いたのか気になって仕方ない


この辺は次回~~
ただし姿に関しては、素直に受け取っていただけたらそれが答えって感じです。

パインとタタラについては、次回前後に分けて更新するかもしれないのでもうちょい後かも?


>あがら辺鄙な所に文化というほどのモンあらへんよー(和歌山弁
いや、真面目に考えてもちょっと見当が付きませんね。
>文化に殺されたって何だろ?
まだ神様が信じられてた時代?江戸中期?
よくわからないものはとりあえず妖怪認定?妖怪ブーム?ガイジンさんを鬼っていうのと同じ感じ……は開国してないから違うか…
>文化に殺された!?また謎めてアレですが12月20日がもしかして・・・この侍と会った日なんですかね


やっべ!地元民だ!(逃

文化については次回ガツンと。
なんというか現代への皮肉的な意味合いを含んでいるとだけ。

最後のお話は果ての二十日ですね。
そのエピも入れたかったのですがうまく入んなかった…(小声


>タタラ場時代の幸せな感じがよくわかるのが相まってますます最後の方の不穏な感じが…
最後のページのタタラの影がまさしく妖怪のイッポンダタラのイメージそのもののシルエットなのが……


よっしゃ!

誰も気づかなかったらさすがに寂しい…って思ってたので大感謝!


ベーシックな一本ダタラ。

以前お話した、タタラのデザインで伏せていたのがタタラの羽織です。

設定的には、派手好きで新しいもの好きなマヒトツがまとっていたもので分御霊が丸に一、マヒトツが丸無しの一と本家と分家を表しています。

ですが、水木しげるの一本ダタラを表現するために羽織が必要だったというのが本音です。

水木しげるをはじめ、江戸から続く妖怪絵師たちは口伝や伝承を下敷きにしたのは確実です。
つまり連想して描いたのが妖怪一本ダタラ。

これ、もし実在したと仮定すると有名な一本ダタラの姿である可能性はきわめて低いです。


例えばこれ、ある動物を口伝で描いたものです。
なんの動物かわかりますでしょうか?

ロチェスター動物寓意譚Crocodile_-_British_Library_Royal_12_F_xiii_f24r_(detail)

この画像はロチェスター動物寓意譚、12~3世紀の図版で動物の習性をキリスト教的教訓と結びつけ布教に使ったたものです。




プチトリビアを挟んだところで答え。

これはワニです。
クロコダイルやスニゲーター教官のあのワニです。



実在の生き物ですらこうなります。
一本ダタラがああいった姿なのは考えにくいです。

じゃあなんであの姿で伝わったのか?
そのために考えたのがシルエット。

415.jpg

羽織はこのシルエットを成立させるためにあしらったものでした。


>背中の一文字も見えなくなるほど汚れてしまったんだなぁ
>最後の最後に背中を傷付けられることが今後の
転落・変貌の象徴みたいで、次回以降が怖い…


本来のタタラは

>職人たちは女の子だと思ってないな これ

バリバリの男社会で育っているのでマヒトツや初期ヒトツメのような子でしたが、背中の一文字とともにどんどん変わっていくのが次回です。


>キイハンター……(きい違い)

なんか聞こえたで!


疲れからか、幻聴が聞こえたので最後に宣伝と紹介をして記事を締めたいと思います。




力作!(こんなにキャラいるのか…
オグンがハーレムだけどまったく嬉しそうじゃないのがグッド!

玲子様、ありがとうございました~~~!!


そんなわけで神様セカンドライフ10巻、配信しておりますのでよろしくおねがいします~~


以上、いつものおまけでした~~~




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コメント

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名も無きハタハタ 2018/05/26 20:55

No title

優しい時の行逢神いるのナイス。
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名も無きハタハタ 2018/05/26 23:46

No title

唐松様多すぎ問題!
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玲子 2018/05/28 08:09

No title

昔は女相撲もあって、土俵も女人禁制じゃなく、女もまわし一つで相撲をとってたんですよねー。
神事の土俵では強いものが選別されるので、筋力的に男だけになるけど。タタラ様が大男投げ飛ばすところ、ちょっと見たかったかも。

基本、女が穢れになるのは月のものの最中で、どうにも痛くて血が流れ出て止まらないのに死なない時期。機嫌も悪くて、魔物扱いもしょうがないかもしれない。毎月もうやだ助けて唐松様…ってなる。

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